Blind Justice

双子が生まれた。
マタンは国を統べるべく、嫡子として育てられる。
ノクスはいずれは姉を助け国を守る者となるべく、分家へ預けられる。

マタンは愛に、すべてに満たされた環境で育つが、自身は孤独だった。
分家に預けられたノクスは友に師父に恵まれ、まっすぐに育っていく。

しかし、力を失っていく国政のもと、人々は日々の生活に困窮し始める。
野党や、敵国に脅かされ、不安な日を送る。
徐々に暗い感情が芽生え始める。
反乱軍(開国支持・海軍派)に捕らえらる。
反乱軍は王族の流れをもつノクスを利用し、革命を企てる。

戦乱の最中、光と、友を失い、ressentimentに魅入られ、やがて支配されてゆく。

時は流れ、国は力を失っていく。飢餓・貧困、他国(開国派)の脅威。
世襲したマタンは隣国(内地)との同盟を結び、反乱を抑えようとする。
しかし、土地は争いによってさらに荒れ果て、荒廃した地に死があふれる。

自ら剣をとり、国軍を導くマタン。
だが、ノクスはマタンの国政を理解出来ず、問う。
「Torn my heart, my friend, that's your wanted to ?」
マタンはまた孤独となる。誰も彼女を理解してはいない。

「Can stay with me ? Or just go away !」
ノクスの答えは「否」。

刃を交える再会が、約束された。


・・・続かない。といいつつ、なんか発掘されたのでUP。

以下、挿絵の解説風に。
ムビに挿入されてるワンカットが見えたら正解です。(無理だろ)



■再会

「ノクス!ノクスなのでしょう!?」
少女は自分と同じ顔の少年をみつけ、弾んだ声で語りかける。
「ああ!神よ…!感謝します…!」
ノクスと呼ばれた少年は、突然の邂逅に驚いた。
記憶のなかの姉の姿や声と結びつかない。
まるで、どこか別の世界から訪れた、見知らぬ少女と対峙しているかの様だった。
「ああ…」
とそっけなく声を発した。そんなノクスとは裏腹に、マタンは喜びを隠さない。
その仕草に、次第に苛立ちを覚え始めた。
それは気品に満ち、自分たちと違う世界に生きてきたことを
物語るには十分だった。



■鳥かご

海風が、長いプラチナブロンドの髪をやさしくなでる。
目覚めたばかりで、空の色を見ても今が朝なのか日が暮れようとしているのか分からなかった。
それが異様な不安を掻き立てる。
視線を落とすと、そこには赤く染まった海が広がる。
その色はいかにも不吉で、それでいて目を離せないような美しさを湛えていた。
争いも何もかも飲み込んでくれればいいのに、マタンはそんな途方もない思いを巡らせ
ゆっくりと目を閉じた。

なぜここにいるのか。なぜ生きているのか。生かされているのならば何を為すべきか。
幾度となく繰り返した自問は、答えにたどり着くことはない。おそらくこの先も。
ただ、逃れることの出来ない「時」はそこまで差し迫っている。
もうすぐ14歳を祝う日が来る。成人の儀、そして国を背負うことを誓わされる日だ。

潮騒が遠のき、また近づく。その中に潮の音とは違う、何かを擦るような音が混じっていること に気づき、その正体を探るべく意識を集中した。
先程の重圧に似た思考は遠く遥かに吹き飛ばし、今は未知への興味と好奇心でいっぱいの己の 軽薄さに我ながら感心したりもした。



■散り往く時

過去か未来かと疑う程に色彩は失せ、それはまるで夢の中にいるように、
映像がコマ送りのようにゆっくりと流れていく。
俺を庇ったマタンが凶弾に斃れようとしている。
呆気ない幕引きに、己の使命すら空しい世迷言のように思えてきた。
違う、こんな世界を望んだ分けじゃない。
姉さんだってそうだ。
こんなところで終わっていいはずがない。

静かに倒れゆく姉さんに手を差し伸べることも出来ないまま、
地に臥した俺は―――(さすがに続かない)


(捏造挿絵)